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【gifted / ギフテッド】子どもと向き合う上で、大切なことが学べる名作。

ソムさん、小学生の息子に習い事をさせたいんだけど、いまいち本人が乗り気じゃないんですよね。

30代男性
 
ソムさん
 

なるほど。

小学生から習い事を始めるご家庭は、多いですもんね。

子供の習い事について、学びになるような映画ってないですか?

30代男性
 
ソムさん
 

それでは、こちらの映画はいかがでしょう。

 

gifted ギフテッド : 作品情報 - 映画.com

【gifted / ギフテッド】

2017年、101分

監督:マーク・ウェブ  

   脚本:トム・フリン      

   キャスト:クリス・エヴァンス     

    マッケナ・グレイス

   ジェニー・スレイト

   リンゼイ・ダンカン

      オクタヴィア・スペンサー

     

 制作費:$7,000,000      

 興行収入:$43,046,590          

 

  

 

あらすじ

フロリダの小さな町で、

船の修理で生計を立てる男フランク

母を亡くした姪のメアリー

片目を失った猫フレッドは、

ささやかながら幸せに暮らしていた。

7歳になったメアリーは、

小学校に通うことになるのだが

メアリーの才能が明らかになることで

幸せだった生活が揺らぎ始める。

 

 

 

年齢は息子と同じだけど、うちの子に才能なんて感じないな…

30代男性
 
ソムさん
 

才能は誰にでもありますよ。ただ、それより大切なものがあります。この映画は、子供の習い事について、本当に大切なことを学べる内容だと思います。

本当に大切なこと…とても気になりますね。

さっそく見てみます!

30代男性
 
ソムさん
 

お楽しみいただけると幸いです。

 

 

 

ーーーーー 翌日 ーーーーー

 

 

 

ソムさん!

「ギフテッド」とても学びになりました!

30代男性
 
ソムさん
 

それは良かったです。

どの場面がお気に召しましたか?

たくさんあるのですが、

特にお気に入りの場面が5つあります。聞いていただけますか?

30代男性
 
ソムさん
 

もちろん喜んで。

 

 

ーーーーー ネタバレ注意 ーーーーー

 

1、メアリーの才能。

マッケナ・グレイス演じる数学の天才児メアリーは、学校の授業が退屈すぎるあまり、登校初日にも関わらず、校長先生に対して「早く帰らせろ!」と怒鳴って早退します。

算数の授業をして、メアリーの才能に気づいた担任のボニー先生は、メアリーのことについて調べます。すると、母親が数学の天才であったことや、若くして自殺いていることなど、衝撃的な事実が浮き彫りになります。

メアリーは数学の天才であるものの、まだ7才の女の子。しかも、これまで同年代の友達も居なかったので、学校に馴染めないのは当然といえば当然です。しかし、校長先生に怒鳴るといった行動は、なかなかぶっ飛んでいます。

とはいえ、微分方程式を解けるメアリーにとって、1+1などの計算は、あまりに退屈で苦痛なのだと思います。そのストレスが爆発してしまったんでしょうね。

マッケナ・グレイスは「アナベル死霊博物館」「キャプテン・マーベル」「ゴーストバスターズ/アフターライフ」などに出演しており、ハリウッドで最も注目されている俳優の一人です。

私生活では12歳の頃「脊柱側弯症」を患い、手術を受けたと公表しています。さらに、背中にある手術痕を大胆に見せた、キュートなファッションが話題になりました。どんな状況でもポジティブに乗り切るマッケナ・グレイスを見ていると、こちらも元気になります。これからも健康に気をつけて、活躍してほしいですね。

 

 

才能があるのは凄いことだけど、それはそれで苦労もあるんですね。

30代男性
 
ソムさん
 

「才能」は一歩間違えると、自分を苦しめてしまいます。そのうえ、助けてもらうことも、難しいでしょう。周りが理解して、カバーし合える環境が、望ましいですよね。

 

2、フランクの想い。

クリス・エヴァンス演じるメアリーの叔父フランクは、哲学の准教授を辞めて、船の修理をして生計を立てている。決して裕福とはいえないが、それなりに幸せを感じて暮らしていた。

ある日、メアリーが上級生を殴ったことで、学校に呼び出された際、フランクは「確かに殴ったことはいけないことだ。しかし、クラスメイトを庇って、上級生に立ち向かうなんてことは、簡単にできることじゃない。」と、友達のために行動したメアリーを、しっかり評価しているフランクに共感を持てます。

確かに、暴力はいけないことです。ただ、友達を見捨てて平気な顔をしているのは、もっといけないことかな?と思うのは、私だけでしょうか。

そんなメアリー想いのフランクは、ボニー先生とバーでお酒を飲みながら、お互いに質問するゲームをします。そこで、ボニー先生から「1番怖いものは?」と聞かれ、フランクは「メアリーを失うこと」と答えます。

フランクにとってメアリーは、血の繋がりはなくとも、しっかり家族なんですよね。

クリス・エヴァンスは「キャプテン・アメリカ」の印象が強く、真面目で一直線なイメージを持たれる方は、少なくないと思います。本作ではさらに、知的で子供思いのクリス・エヴァンスが見られるので、ファンの方は必見ですね。

 

フランクは、メアリーの気持ちを第一に考えているんだなって思いました。私なら、世間体を考えて、メアリーを責め立てるかも知れません。

30代男性
 
ソムさん
 

世間体を気にすることも大切です。ただ、その時の状況をしっかり理解した上で、適切な対応をとることが重要ですよね。

 

 

3、祖母の訪問。

リンゼン・ダンカン演じるメアリーの祖母イヴリンは、学校からの連絡を受けて、ボストンからメアリーに会いにきた。

イヴリンは、メアリーとの些細な会話から、即座に才能を見極めます。そして、メアリーの才能を伸ばすため、ボストンに連れて帰りたいと言いだします。

フランクは、自分の姉であり、メアリーの母である亡きダイアンの「普通の子でいて欲しい」という意思を尊重していた。ダイアンは、数学の天才だったが、母イヴリンの行き過ぎた教育方針等が原因で、自ら命を絶ったのです。自分と同じ道を、メアリーには歩んで欲しくなかったのでしょう。

それを知ったか知らずかイヴリンは裁判を起こし、あの手この手でフランクからメアリーの親権を奪おうとします。

リンゼン・ダンカンは、今作のインタビューで「私のことを嫌いになった人は多いと思う」と発言しています。確かに、自我を子供に押し付けるイヴリンとして、完全なる悪役を演じているので、見ていて気分の良いものではありませんでした。しかし、イヴリンのような思考は、現代のような競争社会において、誰しもが少しは抱いているものではないでしょうか。そのリアルを見事に演じ切ったリンゼン・ダンカンは、私にとっては最高の俳優です。

 

 

親のエゴってやつですね…

30代男性
 
ソムさん
 

イヴリンの行動は、メアリーを思ってのことかも知れませんが、実際は「自分の夢」を、押しつけてしまっているのかも知れませんね。

 

 

4、判決の行方。

裁判の結果は、イブリン側の交渉により、メアリーが12才になるまで、里親に預けることになりました。フランクはこの条件に納得できないものの、親権を奪われる最悪の事態だけは避けるため、泣く泣く条件を受け入れることになります。

メアリーは「置いていかないで!」と、泣きながらフランクに訴えますが、フランクも感情を押し殺してその場を後にします。

後日、フランクはメアリーに会うために、里親のところへ足を運ぶが「メアリーは、君に会いたくないと言っている」と門前払いされる。

ある日、ボニー先生から、猫の里親を募集するチラシの写真が携帯に送られてくる。なんと、そこに写っていたのはフレッドだったのです。

フランクは急いで保護施設に向かい、殺処分寸前のフレッドを救出しました。フレッドを施設に送ったのはイヴリンだと判明し、里親の自宅に押し入ります。

そこにいたのは、数学の問題を解かされているメアリーと、メアリーを監視するイヴリンでした。

フランクの姿を見たメアリーは、取り乱しはするものの、なんとかフランクと和解します。

 

イヴリンの執念が恐ろしい…

いくら好きなことでも、強制されるとそのうち嫌いになりそう…

30代男性
 
ソムさん
 

そうですね。

成長には誰かの協力は必要ですが、過度な協力は負担となり、メアリーを壊しかねませんよね。

 

 

5、メアリーの気持ち。

この事件の後、大学と小学校の両方に通いながら、生き生きとした表情を見せるメアリーの様子が描かれています。

メアリーは、ギフテッド(先天的に高い知性や共感的理解、倫理観などを持っている人のこと)でありながら、いわゆる「普通の生活」を望んでいたのでしょう。それはおそらく、売れっ子アイドルが「普通の女の子でいたい」という感情を抱くのと同じように、いくら好きなことでも、それだけでは精神的に辛くなってしまうのだと思います。

才能のある人は、周りからすると「キラキラしている」「羨ましい」などと思われがちですが、私たちと同じ人間で、同じ感情を持っていることを忘れてはいけないんだと思います。

 

 

メアリーの気持ちを第一に考える、フランクの選択は素敵ですね。

30代男性
 
ソムさん
 

「やりたいこと」は、自分で見つけることが大切ですからね。

周りは、そのサポートをするくらいが、ちょうど良い距離感なのかもしれません。

イヴリンのように、自分の欲求を息子に押し付けていたのかもしれません。

もっと息子と向き合って、息子のやりたいようにやらせてあげたいと思います。

30代男性
 
ソムさん
 

応援しております。

 

 

ーーーーーENDーーーーー