【gifted / ギフテッド】子どもと向き合う上で、大切なことが学べる名作。
ソムさん、小学生の息子に習い事をさせたいんだけど、いまいち本人が乗り気じゃないんですよね。
なるほど。
小学生から習い事を始めるご家庭は、多いですもんね。
子供の習い事について、学びになるような映画ってないですか?
それでは、こちらの映画はいかがでしょう。
【gifted / ギフテッド】
2017年、101分監督:マーク・ウェブ
脚本:トム・フリン
キャスト:クリス・エヴァンス
マッケナ・グレイス
ジェニー・スレイト
リンゼイ・ダンカン
制作費:$7,000,000
興行収入:$43,046,590
あらすじ
▼
フロリダの小さな町で、
船の修理で生計を立てる男フランク
母を亡くした姪のメアリー
片目を失った猫フレッドは、
ささやかながら幸せに暮らしていた。
7歳になったメアリーは、
小学校に通うことになるのだが
メアリーの才能が明らかになることで
幸せだった生活が揺らぎ始める。
年齢は息子と同じだけど、うちの子に才能なんて感じないな…
才能は誰にでもありますよ。ただ、それより大切なものがあります。この映画は、子供の習い事について、本当に大切なことを学べる内容だと思います。
本当に大切なこと…とても気になりますね。
さっそく見てみます!
お楽しみいただけると幸いです。
ーーーーー 翌日 ーーーーー
ソムさん!
「ギフテッド」とても学びになりました!
それは良かったです。
どの場面がお気に召しましたか?
たくさんあるのですが、
特にお気に入りの場面が5つあります。聞いていただけますか?
もちろん喜んで。
ーーーーー ネタバレ注意 ーーーーー
1、メアリーの才能。
マッケナ・グレイス演じる数学の天才児メアリーは、学校の授業が退屈すぎるあまり、登校初日にも関わらず、校長先生に対して「早く帰らせろ!」と怒鳴って早退します。
算数の授業をして、メアリーの才能に気づいた担任のボニー先生は、メアリーのことについて調べます。すると、母親が数学の天才であったことや、若くして自殺いていることなど、衝撃的な事実が浮き彫りになります。
メアリーは数学の天才であるものの、まだ7才の女の子。しかも、これまで同年代の友達も居なかったので、学校に馴染めないのは当然といえば当然です。しかし、校長先生に怒鳴るといった行動は、なかなかぶっ飛んでいます。
とはいえ、微分方程式を解けるメアリーにとって、1+1などの計算は、あまりに退屈で苦痛なのだと思います。そのストレスが爆発してしまったんでしょうね。
マッケナ・グレイスは「アナベル死霊博物館」「キャプテン・マーベル」「ゴーストバスターズ/アフターライフ」などに出演しており、ハリウッドで最も注目されている俳優の一人です。
私生活では12歳の頃「脊柱側弯症」を患い、手術を受けたと公表しています。さらに、背中にある手術痕を大胆に見せた、キュートなファッションが話題になりました。どんな状況でもポジティブに乗り切るマッケナ・グレイスを見ていると、こちらも元気になります。これからも健康に気をつけて、活躍してほしいですね。
才能があるのは凄いことだけど、それはそれで苦労もあるんですね。
「才能」は一歩間違えると、自分を苦しめてしまいます。そのうえ、助けてもらうことも、難しいでしょう。周りが理解して、カバーし合える環境が、望ましいですよね。
2、フランクの想い。
クリス・エヴァンス演じるメアリーの叔父フランクは、哲学の准教授を辞めて、船の修理をして生計を立てている。決して裕福とはいえないが、それなりに幸せを感じて暮らしていた。
ある日、メアリーが上級生を殴ったことで、学校に呼び出された際、フランクは「確かに殴ったことはいけないことだ。しかし、クラスメイトを庇って、上級生に立ち向かうなんてことは、簡単にできることじゃない。」と、友達のために行動したメアリーを、しっかり評価しているフランクに共感を持てます。
確かに、暴力はいけないことです。ただ、友達を見捨てて平気な顔をしているのは、もっといけないことかな?と思うのは、私だけでしょうか。
そんなメアリー想いのフランクは、ボニー先生とバーでお酒を飲みながら、お互いに質問するゲームをします。そこで、ボニー先生から「1番怖いものは?」と聞かれ、フランクは「メアリーを失うこと」と答えます。
フランクにとってメアリーは、血の繋がりはなくとも、しっかり家族なんですよね。
クリス・エヴァンスは「キャプテン・アメリカ」の印象が強く、真面目で一直線なイメージを持たれる方は、少なくないと思います。本作ではさらに、知的で子供思いのクリス・エヴァンスが見られるので、ファンの方は必見ですね。
フランクは、メアリーの気持ちを第一に考えているんだなって思いました。私なら、世間体を考えて、メアリーを責め立てるかも知れません。
世間体を気にすることも大切です。ただ、その時の状況をしっかり理解した上で、適切な対応をとることが重要ですよね。
3、祖母の訪問。
リンゼン・ダンカン演じるメアリーの祖母イヴリンは、学校からの連絡を受けて、ボストンからメアリーに会いにきた。
イヴリンは、メアリーとの些細な会話から、即座に才能を見極めます。そして、メアリーの才能を伸ばすため、ボストンに連れて帰りたいと言いだします。
フランクは、自分の姉であり、メアリーの母である亡きダイアンの「普通の子でいて欲しい」という意思を尊重していた。ダイアンは、数学の天才だったが、母イヴリンの行き過ぎた教育方針等が原因で、自ら命を絶ったのです。自分と同じ道を、メアリーには歩んで欲しくなかったのでしょう。
それを知ったか知らずかイヴリンは裁判を起こし、あの手この手でフランクからメアリーの親権を奪おうとします。
リンゼン・ダンカンは、今作のインタビューで「私のことを嫌いになった人は多いと思う」と発言しています。確かに、自我を子供に押し付けるイヴリンとして、完全なる悪役を演じているので、見ていて気分の良いものではありませんでした。しかし、イヴリンのような思考は、現代のような競争社会において、誰しもが少しは抱いているものではないでしょうか。そのリアルを見事に演じ切ったリンゼン・ダンカンは、私にとっては最高の俳優です。
親のエゴってやつですね…
イヴリンの行動は、メアリーを思ってのことかも知れませんが、実際は「自分の夢」を、押しつけてしまっているのかも知れませんね。
4、判決の行方。
裁判の結果は、イブリン側の交渉により、メアリーが12才になるまで、里親に預けることになりました。フランクはこの条件に納得できないものの、親権を奪われる最悪の事態だけは避けるため、泣く泣く条件を受け入れることになります。
メアリーは「置いていかないで!」と、泣きながらフランクに訴えますが、フランクも感情を押し殺してその場を後にします。
後日、フランクはメアリーに会うために、里親のところへ足を運ぶが「メアリーは、君に会いたくないと言っている」と門前払いされる。
ある日、ボニー先生から、猫の里親を募集するチラシの写真が携帯に送られてくる。なんと、そこに写っていたのはフレッドだったのです。
フランクは急いで保護施設に向かい、殺処分寸前のフレッドを救出しました。フレッドを施設に送ったのはイヴリンだと判明し、里親の自宅に押し入ります。
そこにいたのは、数学の問題を解かされているメアリーと、メアリーを監視するイヴリンでした。
フランクの姿を見たメアリーは、取り乱しはするものの、なんとかフランクと和解します。
イヴリンの執念が恐ろしい…
いくら好きなことでも、強制されるとそのうち嫌いになりそう…
そうですね。
成長には誰かの協力は必要ですが、過度な協力は負担となり、メアリーを壊しかねませんよね。
5、メアリーの気持ち。
この事件の後、大学と小学校の両方に通いながら、生き生きとした表情を見せるメアリーの様子が描かれています。
メアリーは、ギフテッド(先天的に高い知性や共感的理解、倫理観などを持っている人のこと)でありながら、いわゆる「普通の生活」を望んでいたのでしょう。それはおそらく、売れっ子アイドルが「普通の女の子でいたい」という感情を抱くのと同じように、いくら好きなことでも、それだけでは精神的に辛くなってしまうのだと思います。
才能のある人は、周りからすると「キラキラしている」「羨ましい」などと思われがちですが、私たちと同じ人間で、同じ感情を持っていることを忘れてはいけないんだと思います。
メアリーの気持ちを第一に考える、フランクの選択は素敵ですね。
「やりたいこと」は、自分で見つけることが大切ですからね。
周りは、そのサポートをするくらいが、ちょうど良い距離感なのかもしれません。
イヴリンのように、自分の欲求を息子に押し付けていたのかもしれません。
もっと息子と向き合って、息子のやりたいようにやらせてあげたいと思います。
応援しております。
ーーーーーENDーーーーー